臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
それにしても不思議な人だよなぁ。

「でも、普通の男の人って、この状況喜びません?」

「は……? この状況ってどの状況だよ」

「あなたは“女嫌い”じゃないんでしょう? 綺麗な人からモテモテじゃありませんか」

「そうだけどなぁ……」

言いながら、社長は会場を見回した。

「俺にも好みがあるらしい」

「あるらしいって何ですか、あるらしいって……」

呆れて呟いたら、社長は楽しそうに私を見下ろす。

「株式会社TONOの東野社長じゃなく、東野隼人を見てくれる相手じゃないと嫌かな」

「あなたは社長なんだから、それは仕方がないじゃないですか」

「うん。まぁ、そうなんだが。うちの両親見てるからなぁ」

ん……?

「社長のご両親……仲が良かったんですか?」

不思議そうにすると、不思議そうな顔を返された。

「良かったぞ? 母が俺を構おうとすると、邪魔するくらいには父の方がベタぼれだったが」

「あ……あの。あまりお話しされていなかったみたいなので、てっきり」

「仕事ばかりで繋がった仮面夫婦だと思っていたのか?」

えーと。はい。勝手にそんな想像してました。

……でも言えない。言ったも同然だけど、言えない。


すると社長は私の頭をポンポンと軽く叩いてから、小さく笑う。

「ありがとうな。俺はもしかしなくても同情されていたらしいな?」
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