臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「あなたにも同期はいるでしょう?」

「一応は……いるな。総務部の田原や企画課の須永がそうだ」

総務部の田原主任と、企画課の須永主任?

「後にもいたが、よく知らない。社長の息子扱いされたからな、俺に気安く話しかけてきたのはあの二人くらいで、後は遠巻きにされていた」

ああ……なるほど。それはそうでしょうねぇ。

私も同期に“社長の息子”がいたら遠巻きにするかも。

実際には観賞用にしていたけど。

だいたい世界が違いすぎる。仲良くできるとも思えない。庶民って馬鹿にされそう。


……実際の社長はそんなことはないし、それどころかビックリするくらいわけもわからない人だったし、相当とんでもなくて面白いけど。

見ていた社長の表情が、少しだけ曇る。

「臨時で秘書を引き受けてくれて大変だろうに、こんなことにまで巻き込んで……本当に悪い」

……それは前にも言ってくれたじゃないか。

たまに変なこと言われるし、変なことをされるけど、引き受けたからにはちゃんとしますよ。


「これも“お仕事”と思えばいいんです。服も買ってもらいましたし、着る機会なんてそうそうないでしょうけど、承知したのは私なんですから」

するとどうしたことか、怒ったような困ったような複雑そうな顔をされた。

「どうかしましたか?」

「いや。別に……俺にはコレは仕事には思えないが」

まぁ、そうなんだけどね。
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