臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
よし。決めた。この喧嘩を買おうじゃないか。

目を細めて身体の前で腕を組むと、艶然と微笑んで見せる。

「私は確かに秘書資格を有する秘書ですが、それが何か? まさか働いている人間が、自分より下だとお思いですか? でしたら伺います。あなた達は会社員じゃないとして、家族の誰かは働いていますよね?」

じゃあ、あなた達は働いている家族の“誰か”を、自分達を養う馬車馬か何かだと思っているの?

そりゃ、働いている人間偉いぞ、万歳!とまで言わないけど、働いているからって馬鹿にされたくはない。

だいたい大和撫子も“自分の会社”で働いているだろうが。


「それに“たかが”会社勤めの秘書と仰っていましたが、その“たかが”会社は、隼人さんの会社だとわかってます?」

たかが隼人さんくらいの会社の、たかが秘書風情って言っているのも同じだからね?

うちの会社を馬鹿にしてんのか、会社員なめんじゃない。


「私が隼人さんの秘書をしているのは、主に仕事が目的ですが、会社の一端を担っているという自負もあります。あなたたちにとって、会社は遊びにいくところですか?」

「……そうね。会社は遊びでは運営できないわ」

大和撫子がポツリと呟き、思わぬところから思わぬ言葉が出てきた驚きに、視線が彼女に集まった。


「……でも、リングは隼人さんに買っていただいたのでしょう?」

今度は視線が右手につけたリングに集まる。

私も自分の指に視線を落とし、眉を寄せた。


えーと……。これは間違いないな。
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