臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「どうかしましたか? 難しい顔をして……何かありました?」

野村さんは心配そうな顔で、私と閉じられた執務室のドアを眺める。

優しいなぁ。私と、社長に何かあったかと思われたのかな?

「いえ。何かあったわけでは……。野村さん、今夜はお孫さんと遊ぶ予定がありますか?」

「え。あの……ああ、いや、息子夫妻は旅行中なので、じいじは寂しく一人でお留守番ですよ。僕の予定なんて聞いてどうしたんですか?」

じいじって……思わず吹き出しそうになって表情を引き締める。

「はい。社長が飲みに行きたいと……」

言いかけたら、野村さんが飲みかけコーヒーを綺麗に、そして見事に吹き出した。

「わあ……霧吹きみたいでしたねぇ」

「か、感心しないで下さい! 西澤さん布巾! 書類が〜」

あ。それは大変。給湯室からタオルを持ってバタバタしていたら、社長がそっと顔を出していた。

「何事だ?」

「何事じゃないですよ! いきなり飲み会って何ですか」

野村さんのわめき声に、私と社長の視線が合う。

「お前は何を言ったんだ?」

「普通の事ですよ。野村さんの予定を伺って、社長が飲み会したいって言ってる事を告げただけですもん」

「ああ……ちゃんと理由を言わないと野村は驚くだろ」

「ええ? 理由って言っても……要は飲みたいだけですよね?」
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