臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「社長、それは流石にやりすぎじゃ」

……と、いう野村さんの苦笑混じりの言葉も。

「社長〜! うちの部下が何をしたって言うんですか」

……と、いう羽柴さんの狼狽も無視して、社長は歩き続ける。

「隼人兄さん。犯罪者にはなるなよ」

にこやかな飯村さんの見送りに社長は一瞬立ち止まり、チラッと彼らを振り返ると盛大に息を吐いた。


「馬に蹴られたくなければ、構うな」


それだけ言って、社長はスタスタと重役区域に向かう。


これじゃまるで見世物じゃないか。

何事かと重役秘書たちはガラス張りの壁に陣取っているし、通り過ぎる中にはその重役たちも混じって……。

特に副社長と寺脇さんなんて、ニコニコしながら手を振ってるし!

誰も、この暴挙を止める人はいないわけっ!?

それ以外は何事もなく社長室に向かうと、当然のように執務室に入り……社長は鍵をかけた。

社長は無言のままで執務室の中央に立ち、下ろそうともしてくれない。

何がしたいんだろう。どうしたんだろう。

野村さんの言葉じゃないけれど、流石にやりすぎじゃないかと思うし、これって普段の社長らしからぬ行動なんじゃないかな……。


しばらく沈黙が続く。


「あ、あの……?」


「悪い。頭に血が登っていた」


それで済むハズがないでしょぉお〜!?
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