臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
するすると床に下ろされて、バツの悪そうな視線を受けとめた。

悪い事をしでかしちゃった感はありありで、しょぼんとしているのが可愛いんだけど。

「怒ってるか?」

「呆れてます」

「即答かよ」

困ったように眉を下げる社長にクスッと笑った。

「とりあえず、どうなさったんですか。あなたが感情も顕に怒鳴り込むなんて初めて見ました」

以前にも、怒ってるかな?って思った事は多々あるし、怒鳴り合いの言い合いはよくしていたけど、あんな燃えるようにおっかない顔して怒鳴り声を張り上げる姿は見たことない。

プライベートな面は結構な勢いてグダグダだったし、それはそれでびっくりでもあったけど、たまにしかガッカリしなかったし。

完全無敵じゃない社長は、身近な人のようで……。


いや。今、まさに近い。

下ろしてはもらったけど、ピッタリ寄り添うような近さで、私はなんか縋り付いているようだし、社長は両手で人の腰を掴んでる。

今更気がついて、身体中が熱くなってきた。

社長も気がついたみたいだけど、彼は微かに視線を彷徨わせてから、しばらくして、何か驚いたような表情になる。

「お前は照れるんだな」

「それは、照れますでしょう。当たり前じゃないですか」

「嫌悪しないか?」

「どうして嫌悪するんですか」

「いや。俺は何とも思っていない相手に触られたら、ゾッとしたぞ?」

それは峰社長の事だろうか?

考えた瞬間に、抱きしめられた。
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