臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「社長自ら内偵の真似事とかどうなんですか? わけもわからず乗っからないといけない方の身にもなってください」

「お前が信用できるかどうかも判断付かない段階で手の内は見せられねぇよ」

うわぁ。何かバッサリ“お前なんか信用できるか馬鹿”みたいなこと言われた~。

まぁ、そりゃそうなんだけど……。

「それにおばちゃんの噂話っていうのも侮れない。あいつら一部の奴等はパート従業員は使用人みたいな感覚でいるしな。で、何か面白いこと聞けたか?」

「面白いかどうかはわかりませんが。いろいろ聞けたと思います。ただ、どれが有益な情報かの判断はできませんが」

「それでいい。聞いた話をそのまま教えてくれ」

社長秘書の肩書はあったから最初のうちは当たり障りのない話が多かったけど、それでも話をしているうちに打ち解けていくのが人間心理だと思う。

私もノリノリでちょっとバカっぽい発言していたわけなんだけど、本社から来た人を珍しがって、色んな人が入れ替わりながら、話を継いでくれていた。

社長秘書って言っても、工場の人たちが集まる食堂で暢気にケーキ頬張っている女の子扱いされていたし、彼女たちの敷居もそもそも低かったのかもしれないけど。

彼女たちの会話の中には家族の話や今日の出来事などなど、雑多としたものが多いけど、社内の食堂であれば自然と仕事の愚痴っぽい話も出て来るもので、そういった何げない話も含めてありのまま社長に伝えていく。
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