優しい大地とお兄ちゃん
『もしもし、さくら?』
私から大地に電話したのは、初めてだった。
大地の優しい声に、また涙が溢れてきた。
『大地・・・』
声が震えた。
何を話したらいいのか、分からなかった。
ただ、大地の声が聞きたくなった。
『お前、また泣いてるのか?』
大地は少し、焦ったように言った。
私は何も答えられなかった。
『・・うっ・・ふ・・・』
『どうしたんだよ、泣いてちゃ分からないだろ?』
『・・う・・ん・・・』
『今から行くから、ちょっと出てこられるか?』
『うん・・』
そう言って、私は電話を切ろうとした。
『待った、電話切るなよ?ずっと繋げとけ、分かったか?』
『・・うん・・・』
私は言われたとおり、電話を切らなかった。
大地は、家の前まで来る間、ずっと私に話しかけてくれていた。
私はただ泣いているだけで何も答えられなかったけど、大地の優しさが嬉しかった。
大地が家の前につくと、私は部屋を出た。
お兄ちゃんに気づかれないように、なるべく音を立てずに・・。
玄関を開けると、心配そうな顔をした大地がいた。
大地の顔を見て、少し落ち着いた。
「この前の公園行くか?」
「うん・・」
大地は優しく私の手を取って、公園まで連れてってくれた。
大地の手は、暖かかった。