優しい大地とお兄ちゃん
暗闇の中、街灯の明かりの下、私たちはベンチに座った。
大地は、私が話し出すのを待ってくれた。
「・・お兄ちゃん、がね」
「・・・」
「・・大地と、別れろって・・」
「は?」
私の話に、大地は眉をしかめて驚いた。
「なんで?」
「・・俺が、嫌だからだって、言ってた・・」
「・・・」
「・・・」
理由を聞いて、大地は黙ってしまった。
私もそれ以上は、話さなかった。
しばらく沈黙が続いた。
沈黙を破ったのは、大地だった。
「・・なんだよ、それ」
「・・・」
「さくらは、俺と別れたい?」
不安そうに、大地は私を見た。
「・・わかんない・・・」
「・・・俺は、嫌だ。さくらに見てもらいたいし、好きになってもらいたい・・さくらの意思で別れたいなら考える。でも、誰かに言われて別れるなんて、絶対に嫌だ」
そう言って、大地は拳を強く握った。
「大地・・」
「さくら・・俺、お前と別れたくない」
「・・・」
私は何も言えなかった。
真剣な大地を見てると、胸が痛かった。
「さくら・・」
「・・・」
「・・・さくら・・」
大地の声は、どんどんか細くなっていった。
私は、そんな弱々しい大地を見捨てられなかった。
「うん・・私、大地と別れない・・」
「・・本当に?」
「うん」
「よかった・・ありがとう・・・」
そう安心したように言って、大地は私を優しく抱き締めた。
大地の体は、少し震えていた。
私はそっと、大地の背中に腕を回した。