優しい大地とお兄ちゃん
私はベッドに顔を埋めた。
涙が出てこないように、必死に我慢した。
だけど涙は私の思いとは裏腹に、次から次へと流れてきた。
「・・さくら」
ドアの向こうから、お兄ちゃんの声が聞こえてきた。
「さくら・・開けてくれ。お兄ちゃんが悪かった。な?」
そう優しく言われて、絶対に開けないと決めていた心が揺らいだ。
・・結局私は、鍵に手を伸ばした。
ゆっくりドアが開いた。
泣いている私を見て、お兄ちゃんは悲しそうな顔をした。
「さくら、悪かった・・だからもう、泣くな」
そう言ってお兄ちゃんは、優しく私を抱き締めた。
やめて。
もうやめて・・。
もう私の心を乱さないで・・。
お兄ちゃん・・。
お兄ちゃんはずっと、私の頭を撫でてくれた。
それがとても辛かった。
苦しかった。
その思いでまた涙が溢れてくる。
お兄ちゃんから離れたいのに、離れられない。
お兄ちゃんを諦めたいのに、諦められない。
大地を好きになりたいのに、お兄ちゃんへの想いが消えない。
私の心は、矛盾だらけだった。
「さくら、俺・・・」
そこまで言って、お兄ちゃんは言うのをやめた。
何を言おうとしてたのか分からないけど、とても切ない声だった。