優しい大地とお兄ちゃん
『さくら・・やっぱ俺、お前が好きだ。この気持ちは誰にも負けない!お前の事、俺が幸せにしてやりたい!』
電話越しに、大地の叫び声が聞こえてきた。
私は携帯を耳から離して小さく笑った。
『うるさい』
『ひでえな!俺は真剣に言ってんだぞ!』
『はいはい、ありがとう』
・・ありがとう、大地。
やっぱり大地と話すと、心が軽くなるよ。
さっきまで泣いていたのに、いつの間にか涙も止まって、笑顔が溢れてる。
その後も、他愛のない話しで笑った。
久しぶりに、いっぱい笑った。
心が穏やかになった。
もうお兄ちゃんの事で、苦しみたくない。
辛い想いはしたくない。
だから私、お兄ちゃんに何を言われても、大地とは別れない。
お兄ちゃんよりも、大地の事好きになる。
もう決めた。
『・・大地、私、お兄ちゃんに何を言われても、絶対に大地と別れないから。大地の事好きになるから。だから、それまで待っててね』
『・・・』
『大地?』
『・・お前、今のヤバイ。もう一回言って』
『え?だから・・』
何がやばいのか分からないけど、もう一回言おうとしたら、電話の向こうで叫び声が聞こえてきた。
『ごめん!やっぱ言わなくていい!これ以上聞けない!』
『うるさいよ・・どっちなの?』
『聞きたいけど、言わなくていい!』
『・・わかった、もう言わないよ』
そう私が言うと、大地は電話の向こうで唸っていた。
それから長い間、大地と話した。
電話を切り、一階に降りると、いつの間にかお父さんとお母さんが帰っていた。
お兄ちゃんは自分の部屋にいるみたいだった。
お兄ちゃんとは気まずかったから、一階にお兄ちゃんがいなくてよかった。