三角の複雑な恋
ー太陽saidー

いつもの朝を迎える。

俺は学校に行く支度をし、家を出る。

前を向くと秋菜がいた。

背が小さいから分かりやすい。

俺は後ろから声をかける。

「おはよ、秋菜」

「おはよぉー、太陽」

あっ、太陽だみたいな笑顔で返してくれる。

「なぁ、文化祭もう少しだな...」

「そーだね」

俺達の学校の文化祭は毎年盛り上がっている。

文化祭のおかげで年々生徒も増えてるみたいだ。

「秋菜ってシンデレラ役だろ?」

そう、俺達のクラスは演劇でしかも題目は...シンデレラ!

「うん。私には出来ないのに...」

秋菜はいつも出来ないって決めつける。

「秋菜なら大丈夫だろ」

俺はいつも通りに励まし、頭をなでた。

「じゃあ、俺は王子役でもやろうかなぁー。どーかな?秋菜?」

秋菜から返事もなく隣にもいなくて後ろを振り返ると秋菜が顔を真っ赤にして立っていた。

「おまっ、なんで顔赤いんだよ!熱でもあるのか!?」

俺は心配になり必死に声をかける。

「ね、熱ないもん!さ、先に行くよ」

秋菜は顔を隠しながら走って先に行ってしまった。

俺はなにがなんだか分からず秋菜を追いかける為に走った。

クラスに着いても秋菜はいなかった。

でも、カバンはあるから学校には来ている。

はぁ、あいつどこにいんだよ。

「おっ、太陽おはよぉー」

「おう、おはよ」

席に着くと浚に話しかけられた。

「なあ、秋菜どうしたの?」

「秋菜さ、急に走って先に行きやがって」

浚と2人で話していると秋菜が戻ってきた。

俺は、浚との話を一旦やめて秋菜に近づく。

「なんで先に行くんだよぉー。ったく、なんかあっても知らねえーぞ!?」

俺はそう言いながら秋菜の頭に手をのせる。

放課後になり、演劇の練習が始まる。

「なあ、学級委員長さぁーん」

「どうしたの?白波君」

「俺さ、王子役やりたいんだよね」

「前まで嫌がってたのにどうしたの?」

「うん...まぁ、ちょっと...」

「分かってるよ。秋菜でしょ。交代しとくね」

「ありがとう」

俺は王子役に変わったから台本をもらい屋上で練習していた。

もお、帰るか。

立ち上がりクラスに向かう。

クラスのドアを開けると秋菜がいた。

しかもドレス姿で...。

「た、太陽!?なんで!?」

「いや、秋菜こそなにやってるんだよ!」

「私は台本読んでてドレス試着してたの」

ヤバイ...本当に可愛い。

「ふーん...」

俺は冷静口調で言ってるが心はやられている。

「な、なに?なんか言いなさいよ」

秋菜が言ってることを無視し、近づく。

「はぁ。可愛すぎんだろ」

「え?」

急な言葉に秋菜の口からマヌケな声が出た。

「なんて言った?」

「いや、なんでもねぇーよ」

もう、言うもんか。

俺は帰る支度をする。

「教えてよ!気になる」

絶対に言わない。

「帰るだろ?早く着替えろよ」

「早く着替えるから教えてくれる?」

うわ、交換条件出してきた。

「いや、早く着替えなくてもいい。置いていくだけだから」

「...こ、怖いから早く着替える...」

秋菜の目は怖さでうるうるしている。

本当にそういう所可愛すぎる。

「冗談だよ。置いていかないからゆっくり着替えろ。廊下で待ってるからな」

俺は廊下に出て秋菜を待つ。

音楽を聴きながら待ってると秋菜が来た。

「遅くてごめんね!」

「大丈夫だから帰るぞ」

俺達は横に並びあい帰った。
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