Bitter Chocolate
16
ヒカリへの監視は更に厳しくなった。

武志はヒカリを閉じ込め、
出られないように部屋に外鍵を付けた。

ヒカリはその部屋から出られず
食事は武志が用意した。

当然誰とも連絡がとれないように
ヒカリは電話も取り上げられ
1日その部屋で過ごした。

麗子が心配になって武志に連絡をしたが
ヒカリには話しも出来なかった。

要は心配で堪らなかった。

要は麗子に

「お兄さんに様子を見てきてもらうように話してくれ。」

と頼んだ。

麗子はヒカリの兄に会いに行った。

「ヒカリと全く連絡がとれなくて…

武志さんに頼んだんですが
話しもさせてもらえなかったんです。

何かがおかしい気がします。」

「何かって?」

「前に仙台からヒカリを連れて帰ってきたのは私なんです。

その時、ヒカリはお金も携帯も取り上げられて
武志さんはヒカリが逃げられないようにしていたんです。

あまりにも行きすぎてる気がして…。

それに…ヒカリが要さんを好きになったのは
武志さんの先輩だと知る前でした。

要さんが可南子と付き合ったのもヒカリと別れた後でした。

二人は武志さんの事を考えて一旦は別れようとしたんです。

でも…どうしても別れられないほど
一目でお互い惹かれあってしまって…

それは許されないことだと思いますが…」

兄は武志や可南子から聞いた話とずいぶん違っていると感じたが
明らかにヒカリが悪いと思っていた。

「でも…不倫は不倫ですから。」

「それはそうなんですが…

ヒカリは中学の時から武志さんしか知らなかったんです。

まだ若いし…
普通なら何人かと恋愛してる年齢なんです。

それがあまりにも早く相手を決めてしまって…

他の人を好きになるという経験が今までなかったから
どうしていいのかわからなかったんだと思います。」

「そうかもしれませんが…
武志はもう恋人じゃありません。

ヒカリは結婚したんです。

俺は20歳で結婚なんて早いって反対したのに…

アイツはどうしても武志と一緒になりたいと言った。

アイツにはもう責任があるんです。

若いとかそういう問題じゃないんです。」

「でも…もしヒカリが武志さんからひどい目に遭っていたとしたらお兄さんはそれでも良いのですか?」

兄は少し不安になった。

あの時の武志がいつもの武志ではなかったからだ。

ヒカリがもし、武志に酷いめに遭わされて居たら…

そう思うと武志に逢わずにはいられなかった。

兄は休みを取ってヒカリに逢いに行った。

インターフォンを鳴らしてもヒカリが出てこないので
何となく不安になった。

兄は武志に連絡した。

「ヒカリに会いに来たんだが…
部屋に居ないみたいなんだ。

何処にいるか知ってるか?」

武志は焦った。


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