セールス婚 〜負け組仮確定の私が勝ち組に成り上がるまで〜
そして、やって来た休憩時間。私は、いつものようにリフレッシュルームの二人掛けの席にいた。
「あ、難波!」
財布を片手に入ってきた難波のことを、右手を挙げて呼んだ。すると、こちらを向いた難波が私の方へ寄ってきた。
「なんや、どこの可愛ええ子かと思ったら安井か」
「私ですいませんでしたねー」
私の席の側に立ち、意地悪く笑っている難波。そんな難波は私のリアクションに、また更に口角を上げて笑った。
「なんやねん。お前、よお拗ねんなぁ」
「だって、難波が意地悪言うからやん。ほんまに難波、いつも私の事いじめる。あーあ。今日はせっかくええ話持ってきたのにー」
もう知らん、と付け足してそっぽを向く。すると、難波は「ええ話?」と少し興味を持ちながら聞き返してきた。
「ひとまずジュース買ってくるわ。ちょいと待っといて」
「ん、分かった」
私の頭に少しだけ触れた難波の指。私は、そっぽを向けていた顔を元に戻し、ジュースを買って戻ってくるまでの難波の動きをただただぼうっと見ていた。
紙コップに入ったジュースを片手に、私のいる席へと戻ってきた難波は、私の向かいに腰をかけるなり「ええ話って何?」と問いかけてきた。