そして目覚めの口づけを
何て感心している間に貴志さんは赤く色付いた頬を右手で撫でつつ呟いた。


「君ってホント、これでもかとばかりに、意表を突いた行動を取ってくれるんだよな…」


その一連の仕草を目撃した私の鼓動は最大級にはねあがる。

困ったようにはにかむ貴志さんのその表情こそが、意表を突く可愛らしさで国宝級にセクシーだったから。

また彼の魅力を再発見してしまった。

すると彼はふいに表情を引き締め、更に私に接近した。

両手で肩を抱かれた所でその意図を悟る。

初めての経験だったけれど。

誰にもレクチャーなどされたことはないけれど、私は自然の成り行きでギュッと強く瞼を閉じた。

そして間を置かず、唇に感じた温もりに、自分の判断は正しかったと安堵する。


……ホントだね、お父さんお母さん。

数時間前、夢の世界で聞いた二人の声に、今さらながらに答えを返す。


『お前とこうして語らうのはとても楽しいことだけれど、いつまでもここに入り浸っていてはいけないよ』

『『どうかこの愛しい我が子の描く夢が、将来実現しますように』という願いを込めて『夢実』と名付けたのだから。早く目覚めて、現実の世界でしっかりと生きていかないと』


そして二人は満面に笑みを浮かべながら、声を揃えて断言したのだった。


『心配しなくても大丈夫。お前は私達の娘なんだから。生まれる前から探していた運命の相手と、きっと、必ず、巡り会えるから』
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