そして目覚めの口づけを
「い、いやいや。『とっくに』という表現は正しくないですよ。絶対に好きになったのは私の方が早いですもん」

「…いや。俺、同居を始めた頃にはもうすでにかなり君のこと気になっていたから」

「あ、じゃあやっぱり私の方が先です。だってほら、青柳さんとの会話を聞いて給湯室で貴志さんに詰め寄ったあの時、すっごいドギマギしたんですもん」


きっとあの時点でフォーリングラブだったに違いない。


「……それを言ったら俺は、君が庶務課に配属されたその日から、何となく、他の女性とは違うような気がするなって、妙に心に引っ掛かってたよ」

「えー。何ですかその後出しー」


超ズルくなーい?

そんな、本人以外には確かめようがない、何の裏付けもない証拠を提示されてもさー。

内心イラッとしながら考えを巡らせていた私は、そこで突然閃いた。


「あっ。だったら私は、生まれる前から貴志さんの事が好きでしたから!」


だって運命の相手だもん。

すると貴志さんは最大限に目を見開き、口を半開きにしたまま固まった。

勝った!

そのリアクションを見て私は自分の勝利を確信する。

どうだっ。

これでぐうの音も出まい!

しっかしこの表情、一歩間違えるととてつもない変顔になってしまいそうなものだけど、相変わらず男前っぷりは損なわれないんだな、さすがだな。


「……参った」
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