ハッピーエンドなんていらない



今日もまだ手は繋がないまま、おそらく集合場所に来るであろう湊を待つ。

湊の家から駅まで最短距離で行くには、あの集合場所を通るほかないのだ。

だから多分、絶対に湊はあの場所に訪れるだろう。


期待を込めて集合場所についたのは、集合時間の5分前だった。


遅刻魔の雪のせいで目立たないが、実は湊も朝は苦手である。

それでも集合時間はしっかり守る人で、いつもだいたい集合時間ちょうどに来ている。

紫苑と付き合い紫苑と先に集合するようになってからも、それは変わらないようだった。


5分前に待機していれば、きっと湊は来てくれるはずだ。

むしろ、いつもの集合時間では余裕があるからと遅く来る可能性もある。


未だに頬を膨らましたままの雪にふと微笑んだ。

「わがまま、聞いてくれてありがとう」


実は、湊から話を聞きたいと言ったのはわたしなのである。


勝手に帰ってしまうことやいきなり紫苑を振った理由を聞きたかった。

紫苑が雪のことを好きだから振った、というのはあくまで紫苑の予想でしかないから。

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