お前しか見えてないから。*特別番外編*
あれ……?ウソ……。
どうして…?
私、花鈴と一緒の部屋のはずじゃ……。
だってだって、花鈴は旅行の件でお父さんを説得する時、『部屋は彼氏とは別々、鈴菜と一緒に泊まるから』って言ってたのに…。
「え、でも花鈴、部屋は……」
私が動揺していると、花鈴はしれっと答える。
「あぁ、あんなの説得するためのウソに決まってるじゃん。
彼氏と旅行来て、一緒の部屋に泊まらなかったら意味ないでしょ?」
そ、そうだったの……!?
「え……でも…っ」
「夏希とごゆっくり~♪」
花鈴はそう言ってウインクすると、そそくさとハルくんのもとへと戻って行く。
そして、荷物を持ってハルくんと腕を組むと、
「ハル!早く部屋見に行こうよ!」
「おう!」
先にエレベーターのほうまで歩いて行ってしまった。
私はその場で呆然と立ちすくむ。
ど……どうしよう…。