お前しか見えてないから。*特別番外編*
レストランでみんなで夕食を食べた後は、旅館内のゲームコーナーで遊んだり、みんなでお喋りしたりして、それから各部屋へと戻った。
ナツくんと一緒に少しだけテレビを見て、明日の予定について話したりして、お互い眠くなってきたので電気を消して布団に入る。
二つ並んだ布団は距離が近くて、だけど触れるほどの距離ではなくて、私はさっきの花鈴の言葉を思い出して、一人でただドキドキしていた。
布団に寝そべるとナツくんが「おやすみ」と言う。
だから私も「うん、おやすみ」と返した。
一気に静まり返った薄暗い部屋。
沈黙が流れる。
ナツくんは何も喋らない。
寝ちゃったのかな?
…ほら、やっぱり何もないよね、まさかね。
そわそわしてた自分がバカみたい。
なに変なこと考えてたんだろう。
だけどこのまま普通に寝てしまうんだと思ったら、少しだけ寂しい気持ちになった。
バカだなぁ、私…。
そういう覚悟があるわけでもないのに……。