私、今から詐欺師になります
「捕まえたぞ、茅野っ」
階段を駆け上がった茅野は隠れていた秀行に、後ろから腰に腕を回され、捕獲される。
「はっ、離してくださいっ」
「至近距離で刺股を構えるなっ」
危ないだろうがっ、と秀行は叫んできた。
「じゃあ、私の就職先にごちゃごちゃ口を出さずに、カレーナン食べてくださいっ。
冷めるじゃないですかっ」
わめく茅野を秀行は、ひょいとお姫様抱っこで抱き上げる。
「おっ、おろしてくださいーっ」
とめくれそうなスカートを押さえて、茅野は叫んだ。
はいはい、と抱き上げたまま、秀行は笑う。
「おろしてくださいっ」
「はいはい」
とそのまま、秀行は階段を下りていく。
「刺しますよーっ」
「何処も尖ったところないだろ、それ……。
いいから、黙って、俺が食べるのを見とけ」
と秀行は笑って言ってきた。
「……黙ってるんでいいんなら、人形でも置いとけばいいのに」
そうボソリと愚痴ると、
「じゃあ、お前の顔の人形でも作って来い。
槍で刺すから」
と言ってくる。