私、今から詐欺師になります




「捕まえたぞ、茅野っ」

 階段を駆け上がった茅野は隠れていた秀行に、後ろから腰に腕を回され、捕獲される。

「はっ、離してくださいっ」

「至近距離で刺股を構えるなっ」

 危ないだろうがっ、と秀行は叫んできた。

「じゃあ、私の就職先にごちゃごちゃ口を出さずに、カレーナン食べてくださいっ。
 冷めるじゃないですかっ」

 わめく茅野を秀行は、ひょいとお姫様抱っこで抱き上げる。

「おっ、おろしてくださいーっ」
とめくれそうなスカートを押さえて、茅野は叫んだ。

 はいはい、と抱き上げたまま、秀行は笑う。

「おろしてくださいっ」

「はいはい」
とそのまま、秀行は階段を下りていく。

「刺しますよーっ」

「何処も尖ったところないだろ、それ……。
 いいから、黙って、俺が食べるのを見とけ」
と秀行は笑って言ってきた。

「……黙ってるんでいいんなら、人形でも置いとけばいいのに」

 そうボソリと愚痴ると、
「じゃあ、お前の顔の人形でも作って来い。
 槍で刺すから」
と言ってくる。
< 140 / 324 >

この作品をシェア

pagetop