私、今から詐欺師になります
荷物を手に、駐車場に止めてあった穂積の車に乗る。
「すみません。
お待たせしました」
荷物を膝に乗せ、助手席で言ったが、穂積は発進しない。
おや? と思い、振り向くと、
「すまん。
ちょっとだけ、人でなしになっていいか」
と訊いてきた。
え? と思っていると、ダッシュボードに手をかけた穂積がそっとキスしてくる。
離れたあと、茅野の顔を見つめていたが、
「……悪かった。
行こう」
と言って、それぎりそのことには触れずに、車は病院へと向かった。