私、今から詐欺師になります
「ええっ。
 雇ってもらえないんですかっ?

 やっぱり、私がなにも出来ないからですかっ」

 そう訴える茅野の後ろで玲が、ぼそりぼそりと言っている。

「逆だよ。
 やり過ぎだよ。

 まるで産業スパイだよ」

 そんな言葉は耳に入らぬように、茅野は潤んだ瞳で見つめてくる。

「私っ、此処に居たら、まずいですかっ?」

 まずいのは確かだ。

 茂野と揉め事は起こしたくない。

 だが……。

「お願いします。
 雇ってください。

 時給安くても構いません」
と茅野は必死に懇願してくる。

「でもさ、茅野ちゃん。
 その安い時給じゃ、どのみち七億返せないでしょ」
と言った玲に彼女は、

「だから、そのお金で宝くじ買います」
と言っていた。

 ……建設的なような、そうでもないような。

 だが、とりあえず、それ以前の問題がある。
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