サガシモノ
あたしは健と2人で広間へと移動しながら、さっき起こった出来事を話して聞かせた。


「まじかよ、それ……」


健は顔をしかめてそう言った。


「参加しないと飯田アキラが迎えに来るなんて……俺たちはどうしても逃げられないのかよ」


それこそ、海外まで行かなきゃ助かる道はないんだろう。


「咲紀、どうしたの?」


広間にはみんなが集まっていて、あたしが来たことに驚いている。


「あたしも、みんなに聞きたいことがあるの」


「松田邦夫の事か?」


すぐに感づいて陽がそう聞いて来た。


あたしは「そう」と、大きく頷いた。


結局あたしは夕方も外へ出る事ができず、松田邦夫に会えたのかどうかも知らないままだった。


「本人に会えたよ」


陽の言葉にあたしは大きく目を見開いた。


「本当に!?」


「あぁ。やっぱりあの3人は死んでなかったんだ」


それならあたしたちがここで見た歪んだ顔の3人は、生霊だったということだ。


それくらい強い想いが3人の中にあるはずだ。
< 139 / 214 >

この作品をシェア

pagetop