サガシモノ
借金
校長のおかげであたしたちは逃げた水原先生と話す事ができていた。


放送で校長室に呼ばれた水原先生は、あたしたちの姿を見た瞬間また青ざめた。


絶対に何か知っている顔だ。


「こ、校長、話というのはなんでしょうか?」


あたしたちの存在を気にしながらも、校長へ向けてそう聞いた。


「話は私じゃない。生徒たちからあるそうだ」


校長はそう言い、ソファから立ち上がってデスクの椅子に座り直した。


自然と、今まで校長が座っていた場所に水原先生が座る格好になった。


水原先生はあたしたちの前で額の汗をぬぐう。


校長もいるから、下手な嘘をついたりはできないはずだ。


「水原先生、吉原郁美先生について教えてください」


あたしは水原先生の目を真っ直ぐに見てそう言った。


水原先生はせわしなく座り直し、咳払いをしてチラチラと校長を見ている。


「水原先生、生徒に返事くらいしないと、あなた教師なんですから」


校長にそう言われて水原先生は眉を下げた。


この場に自分の味方はいないと理解したとうで、大きくため息を吐き出す。


「……昔、この高校に勤めていた先生だ」


小さな声だけど、水原先生はそう言った。


「水原先生と付き合っていたんですよね?」


渚が更に質問をした。


水原先生は目を丸くして渚を見た。


「そ、そんな情報どこから……」
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