私に恋してくれますか?
部屋に入って、足立先生は私をベッドに横たえ、

「服を緩めるよ。俺は主治医。決していやらしい事は考えてない。」
と笑って上着を脱がせ、ブラウスのボタンを2つ外し、
スカートのファスナーをそっと降ろして、布団をかけた。

…ちっともドキドキしない。
トオルくんがブラウスのボタンを外すときは
私の心臓は壊れそうなほどバクバク音を立てるのに…
不思議だ。
きっと、先生とは兄と妹に近い関係だからかな?
やっぱり結婚なんて無理だってボンヤリした頭で再確認する。

足立先生は上着をぬいで、腕まくりをし、部屋をでた。
氷をビニール袋に入れ、即席の氷枕を作って頭の下に入れ、
体温計を持って来て、熱を測る。

「静子さんが来るよ。薬箱のありかも聞いた。」と言って

「口開いて。喉が赤い。…38度8分。」
顔をしかめて、抱き起こし、解熱剤を私の口に入れ水を飲ませる。

「少し目を閉じて眠って。
俺はリビングにいる。
これ以上、一緒にいると襲いたくなる。」と立ち上がる。

「ありがとうございました。でも、…襲わないでくださいね。」と声を出すと、

「ハイハイ。初めて部屋に入ったのに、ちっとも楽しくねーな。」
と文句を言いながら笑って部屋を出て言った。


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