私に恋してくれますか?
「やっぱりついてたか。」とチッと機嫌の悪い声を出し、
「次に家出する時は警報切っておけよ。」と私の手を掴んで走り出した。

裏の道をいくつか曲がりながら走り抜ける。
私はこんなに走ったのは初めてだ。
息が上がって、目がちかちかする。
酸素が足りない。って思ったところでトオルくんは急に止まって
大きな日本家屋のよく手入れのされた生垣の裏口に入って行く。
五十嵐という表札。勝手口をバタンと開け、
「レオン見つけた。ばーちゃん、用事を思い出したから帰るよー!」と大声で言って、
敷地に停めてあった小型の外車に私を押し込み、
エンジンを吹かして、車を発進させた。

「五十嵐 トオルくん?」と聞くと、
「えーと、日野 ぴーこ?」とクスクス笑うので、
「雛子。ぴーこ。って呼ぶのはトオルくんだけだよ。」と呆れると、

「どこ行く?ぴーこ。友達のとこ?」と聞くので、
「…スマホ持ってない。お財布もないし。」と私が唖然とした顔をすると、ゲラゲラ笑って、
「しょうがねーな。まあ、とりあえず、俺んちか。」

へ?
「トオルくんの家?」
「しょうがねーだろ。…家出させた責任もあるし。
オマエが生きてた。って思ったら
なんだか嬉しくなっちゃったんだよ。」とまた、クスクス笑い出した。



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