私に恋してくれますか?
家に戻ると、仕事を終えたトオルくんが1人でいて、
仕事場の奥に見えていたダイニングキッチンに呼ばれる。
(ここの家は1階にキッチンと浴室と、洗面所。洗面所には洗濯機が置いてある。)
コンビニでお弁当を買ってきてくれていた。
「ありがとう。」と深く頭を下げたら、
「大袈裟。」とクスクス笑われる。

幕内弁当と書かれたそれはプラスチックの容器に入っていた。
初めてのコンビニのお弁当。

私がジーッと見ていると、
「嫌いなモノでも入ってた?」とトオルくんが私の顔を覗く。
私はチョット顔を赤らめ、横に首を振ると、
「わかったあ〜、コンビニの弁当って食べたことないんだろう!?」とトオルくんはにかっと笑った。
「す、すみません。」とまた、頭を下げると、
「食べられない?」と心配そうな顔を見せるので、
「食べます!お腹がすいたなって思ってました。」と大声を出すと、トオルくんはクスクス笑って、
「ピーコは筋金入りのお嬢だよなあ。
もう、家に帰りたい?」と聞くので、
「帰りません。…ここにおいてください。」とトオルくんを見つめると、
「…ピーコあんまり、そんな顔で、オトコを見つめない方がいいぞ。
俺って、理性的な方じゃないから、あんまり、我慢できないって思うし…
取りあえず、俺と寝ておく?
俺と付き合っちゃえば、お見合いしなくてもいいんじゃない?」と私の瞳を笑った顔で覗き込む、
「そ、そういうことは出来ません!」とあとずさると、
「うーん。ピーコはそういうと思ったよ。
大丈夫。冗談って思っておいて。
…俺はオンナノコに困ってないから。襲ったりはしないよ。
ぴーこの気が向いたらでいいよ。
さて、飯にしよう。
ピーコ、お茶淹れてくれる?」とさらにコンビニの袋からサラダを出している。

普通恋人でもない女の子と寝ないでしょ?!
絶対、気が向いたりしないから!!

と心の中で叫んで、コンロの前に立った。




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