私に恋してくれますか?
翌週になって、父の秘書の水城さんに連絡を取り、
マンションの契約をした。

トオル君はマンションを一緒に見にきて、
「贅沢だねえ。でも、安心かな。」と私の顔を覗き込んだ。

2LDK、駅から直結しているマンションで、
トオル君の家の最寄駅から電車で15分。
もちろんマンションの入り口には受付のコンシェルジュが24時間いて、
奥のエレベーターに行くにはカードキーを使わないと入れないようになっている。
駅ナカのお店が充実しているので、買い物には困らなそうだし、
夜になっても、明るく人通りもあるので、安心だ。

「俺にも鍵くれる?」と言ったので、

「そ、そのうち」と言うと、

「ふううん。」と不機嫌な顔を見せた。

「だ、だって、片付いていいない時に来てもらっても困るし」

「へえ。俺は気にしないけど。」と私の顔を睨み

「ヤブ医者は部屋に入れるなよ。」と念を押した。

「入れません。男の人はトオル君だけです。」と言うと、一応安心した顔を見せた。


トオル君と必要な家電や、家具を選ぶ。
一緒に暮らす訳ではないのに、
こころはウキウキと弾む。

じゃれあったり、口喧嘩をしたり、
一緒に食事やベッドを共にし、
甘く愛を囁きあう。

どんどんトオル君は私の心を占めていき、
私の初めての恋人になっていった。
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