私に恋してくれますか?
みなとみらいのホテルに着くと、
私の荷物が入ったスーツケースと
夜景が良く見えるツインベットの部屋にもうひとつリビングがついた
ジュニアスイートの部屋が用意されていた。

「君のお義父さん、部屋をグレードアップしてた。
俺はダブルベットの部屋を取ったのに…。
俺はリビングで寝ろってことだな。
エキストラベットまで用意されてるし…。」とクスクス笑った。

「い、一緒に泊まるんですか?」と驚くと、

「用心棒がわり。でしょ。
俺は雛子ちゃんを上手く丸め込んで、
抱いてしまおうって思ってたのに、残念だよ。
部屋まで変えられてるんじゃ、見張られてるみたいで、
雛子ちゃんを襲えないな。
今回は諦めるよ。
疲れただろ。
後のことは俺に任せて。
シャワーを浴びて寝るといい。
俺は自分の着替えを家から持ってくるから、しばらく戻らない。
ゆっくり休んで。」
と、言ってから、私をそっと抱きしめ、

「雛子ちゃん、
ヒトを好きになるって苦しいな。
苦しいくらい好きじゃない俺とだったら、
穏やかに暮らしていけるよ。
…考えてみて。」と先生は囁き、私の額に唇を付けて部屋を出て行った。
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