もう二度と昇らない太陽を探す向日葵

 彼は、この辺りからずっと愛おしさを奥に秘めた表情をしていた。

 私は、本当に素敵な人を見つけられたんだなと心から思う。この人と生きる道を選んだこと。それが間違いなはずがない。私は、改めてそう思った。


 私と学校生活を共にするようになった彼は、徐々に明るくなっていったという。自分でも分かるくらい、気持ちが穏やかになって、表情も柔らかくなったような気がしていたと。

 やがて、彼の母親にも「最近楽しそうね」なんて言われるようになったんだとか。

 そうして過ごしていく間、彼は時々、自分が病を抱えているという現実を忘れることがあったらしい。そのくらい、私と出会ったことは大きかったと、彼は私を真っ直ぐに見て言ってくれた。

 私は、その言葉がとても嬉しかった。

 まだ私は、この世界を生きる彼に出会ってはいないけれど、でも、彼と出会う道を選択できることを本当に嬉しく思った。

 彼は、私のことを真っ直ぐで向日葵のようだと言ったけれど、私には、彼こそ真っ直ぐ私のことを照らしてくれる。そんな素敵な太陽のような人だと思えた。

 向日葵は、真っ直ぐ太陽を見つめる。そう言うけれど、それはきっと、太陽がたくさんの愛を恵んでくれるから。

 たくさんの愛を、優しく注いでくれるから。だから、そのもらった愛を返そうと真っ直ぐ見つめながら伸びていくんじゃないかと、そう思う。

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