強引専務の甘い手ほどき
私達は一緒に出勤し、
秘書室で結婚の報告の挨拶をし、仕事を始めた。
(しばらく、ここだけの話にして、
新しい支店のオープンの時にキサラギさんの結婚については発表される事になっっている。)

私はずうーっと乗り物酔いみたいな状態で、
フラフラとトイレにしゃがみこんだり、していたので、
すぐに上野さんに(上野さんは小学生のお子さんがいるシングルマザーだ。)妊娠に気づかれてしまい、
休暇を勧められてしまった。
「妊婦さんは自分の身体を第一に考えて。
つわりは、人それぞれだけど、
カエデさんはしばらく仕事は無理そうよ。
凄く顔色悪いし、座ってもいられないでしょう?
あなたしかお腹の子どもは守れないんだから。」と優しく諭され、

水城さんにも
「社長は楓さんの妊娠がわかった時から、
休暇をを取らせたいって言ってたし、
君が休みたいって言うのを待ってたんだ。
勝手に休みにするって訳にもいかなかったからね。
安定期に入るまでは無理をしないほうがいい。」とにっこりされた。

妊娠って、病気じゃないんだけど…
休んでいいのかな?

でも、まあ、ここにいてもちっとも役に立ってないか…。

と思ったところでバタバタとキサラギさんがやってきて、
「今日は挨拶だけにして、連れて帰るつもりだった。
遅くなって悪かったな。役員にあちこちで捕まって時間がかかった。
家に送る。ちゃんと寝てろ。」と私の手を掴んだ。

あれ?
そんな感じ?

みんな、甘やかし過ぎてないでしょうか?

その時はそう思ったけど、
まあ、結果的にはそれで良かったみたいだ。

その後
つわりで、どうにもならずに
しばらく入院って事になったから。

やれやれ。

妊娠って大変だ。

私は初めての体験で、戸惑うことばかりだ。






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