強引専務の甘い手ほどき
第6章。

バラの季節。

4月半ば。
私達の結婚披露宴は来年の春に決まったけど、
(ルピナスの時期社長でもあるキサラギさんの披露宴は用意が大変だ。)
友人達を招待して、カジュアルなパーティーが開かれる事になった。

キサラギさんのお友達はお坊ちゃんたちが多いようで、
私の友人達は相当気合が入っているようだ。(既婚者も含めて。)
私がキサラギさんがルピナスの跡取りだと言うと、
大騒ぎになったのは言うまでもないけど、
私が妊娠してるって言ったら、
仲の良い子が私の誕生会の後
キサラギさんにカエデって子どもを望んでるかって
聞かれた事があると笑い、
キサラギさんはカエデが決心するなら妊娠もありかな。と呟いていた。
と言っていたのには呆れた。

まあ、私は結婚出来るわけがないって思っていたから、

将来の事はキサラギさんに聞かれても、曖昧にしていた…かな?

でも、ひとりで妊活って普通はダメだから!

と、友人と電話で話した翌日。
私の前で涼しい顔で朝食を食べているキサラギさんの顔をキツく見つめて、
ひとりで、興奮すると、
お腹の中で、ポコンと何かが動いた。

いや、何かじゃない。
チビ太だ。

私は驚いた顔のままで
「…動いた。」とポツリと言うと、キサラギさんは不思議な顔の後で、
すぐに顔を真っ赤にして、立ち上がって、私のお腹に顔をつけ、

「チビ太!パパだ!返事しろ!」と大声で何度も言っていた様子を見たら、
(もちろん、キサラギさんの思い通りにチビ太は動いたりはしない。)

可笑しくなって、

まあ、いいか。
パパはあなたに早く会いって思ってたって事だよね。
と、許しておく事にした。






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