強引専務の甘い手ほどき
専務が私の顔を見て話し始める。
「俺は経営に徹して、パティシエに味は任せる。ってオヤジに言ったんだよ。
そしたらさ、美味いってだけじゃ駄目だ。
ルピナスらしさがなくなったら、客が離れていく。
って言ってさあ。
ルピナスが好きな若いヤツ。
ルピナスらしい味がわかるヤツ。を俺に付けておく。って言ってさあ。
君が来た訳。
パティシエじゃなくって、
ルピナスの味をを愛してるっていうだけのヤツがいい。
って言うのが、オヤジと、紺野さんの意見な訳だ。
俺が甘いものを食べられないっていうのを言いふらされると、困るから、
口が硬くて真面目なヤツを選んできたみたいだよ。
主に紺野さんのお勧め。」と私の顔を見た。
「はあ。」とまだよく納得できないけど、

「とりあえず、一緒にいてよ。
甘いものを食べなきゃならない時は任せるから。」と笑って、

「まあ、そそっかしいのには目をつぶることにする。」とシャツを脱ぎだしたので、

「よ、よろしくお願いします。シャツはクリーニングに出させてください。」と慌てて言って、
専務室を後にした。
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