強引専務の甘い手ほどき
仕事場では
専務は厳しい顔で石神さんと通りすぎていく。
私とくだらないおしゃべりをしている暇はない。
それでも、コーヒーを淹れて、部屋に運ぶと、
柔らかい笑顔を見せて笑った。

私は少しづつ、ファイリングを覚え、
スーツと5センチヒールに慣れ、
毎日コーヒーを淹れた。

専務と石神さんは忙しく、
私は暇だった。

時折、専務は話題のスイーツを取り寄せ、
私に試食させ、意見を聞き、
そして、秘書課のみんなにご馳走してくれた。


私って役に立ってるのかなあ。
そう、不安になった頃、
季節のケーキの新作を選ぶ、時期が訪れた。

これは関東地方に点在する12店舗の支店から1点ずつ新しいケーキが本店に集められ、
(販売店のみの所は含まれない。)
その中から2、3点のものが
その季節の新作として選ばれる事になっている。
という、会議だ。

私も専務と石神さんに付いて参加する事になっている。
(専務も初めての参加だ。)

本店に行くのは2ヶ月ぶりになる。
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