強引専務の甘い手ほどき
結城くんが嬉しそうに私のところにやって来て、
「俺のケーキをカエデ先輩が好きだって言ってたって紺野さんに聞いた。
ありがとう。
やっぱり、カエデ先輩は、俺のケーキが分かってる。
今回のケーキもカエデ先輩にアドバイスをもらえてたら、
季節の新作に選ばれてたかもって、
思っちゃったよ。
先輩、連絡先教えてよ。
今回のブドウのケーキ作り直したら、
食べてみて、アドバイスして欲しい。」と私の顔を覗く。
「私の意見はそう、参考にならないと思うけど…」と言うと、
「何言ってるの、紺野さんの秘蔵っ子は
パティシエじゃないカエデちゃんだ。ってみんな知ってる。
紺野さんの新作は
カエデちゃんが1番に食べるって言ってるよ。」と頬を膨らませる。
「紺野さんは私を娘だと思ってくれてるってだけだけど?」と笑ったけど
「スマホ出して。」と言ったので、バッグの中に手を入れると、
後ろにいた石神さんが私の手を止め、
「結城くん、秘書室に電話してきていいよ。
ケーキの事の相談なら、時間内に連絡くれれば、
本店に西島さんを行かせます。」とニッコリする。

「なんか、俺とカエデ先輩の仲を邪魔してるようにおもうんだけど?」
と結城くんが石神さんを見たけど、
石神さんは何も言わずに微笑んでいる。
「まあ、いいよ。
カエデちゃん、ケーキ出来たら、秘書室に電話するね。」
と結城くんがニッコリしていなくなると、
石神さんは大きく溜息をつき、
「カエデちゃんがオトコに電話番号教えそうなのを知ってて止めなかったら、
俺がキサラギにぶん殴られる。」と私の顔を見る。
「…石神さん、考えすぎですよ。」と私が呆れると、
「カエデちゃんってやっぱり天然でしょ。
さっきから、キサラギが怖い顔でこっちをチラチラ見てる。」
と言って、私を会議室から連れ出した。

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