強引専務の甘い手ほどき
「せ、専務、み、みんなが見ていましたけど。」と車に乗って、私が言うと、
「キサラギって呼べよ。別にいいだろ。見てたって。」と私の顔を見る
「へ、変な噂が立ったらどうするんですか!」と怒った声で言うと、
「変な噂ってどんな?」と笑った声で聞くので、
「せ、専務が、ひ、秘書課の女と付き合ってるって…」と言うと
「おれが秘書課のオンナや、販売員のオンナと付き合っちゃ、いけないのか?」
と呆れた声で聞くので、
「そうじゃなくて、付き合っていません!」と言うと、
「そうか。フライングだったな。」とクスクス笑った。

フライング?

「ところで、カエデの部屋って狭くない?」と専務は急に話を変える。
「…ひとり暮らしのですから。それに、これ以上、住居費をあげたら、
おしゃれも、ご飯も好きなものを選べなくなります。」と言うと、
「販売員より、秘書の方が給料は良くなっただろ。」と言って、
「もっと、本社に近い、もう少し広いところに引っ越せよ。
オートロックで、もうちょっとセキュリティの高いところ。」と私の顔を見る。

何言ってんですか?

「無理です。そんなところは高くて借りられません。」と呆れた声を出すと、
「この間、俺、仕事用に部屋を借りたんだ。
見にこない?
カエデが好きな観覧車見えるとこにしたんだ。」と笑う。

「…行きませんけど。」と言うと、
「えー!?
しょーがないなあ。」と専務は困ったように頭を掻く。

呆れたオトコだ。
付き合ってもいないオンナを部屋に誘うなんて。

私は返事をせず、キツく、専務の顔を見た。
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