俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
今週末も小早川君はご実家へ向かうそうだ。そのついでにその幼馴染みの彼女に事情を話して婚約話を取り消してもらってくると言っていた。
でも、大丈夫なんだろうか。
うまくいくといいけれど。
午後、契約書につける約款の手直しをして戸建営業の人に頼まれた契約書を作成していたときだった。
契約書につける図面サイズのA2のコピー用紙が切れていた。
保管庫へ行く旨を近くの営業に伝え、席を立った。
保管庫は資料室の隣に有り1つ下の階へ行かなければならない。
重いんだよね……持てるかな。
とりあえず1つしか持てないし、でも台車使うほどじゃないしなぁ。まぁエレベーター使わせてもらったら行けるよね。
ヨロヨロとしながら抱き抱えるようにコピー用紙を両手で持ち、階段とは反対方向のエレベーターへ向かう。
後ろからヒールの音がして邪魔にならないように横にずれようと体を寄せようとしていたら、トンッと軽く背中を押された。
突然の事でバランスが崩れて体が前のめりに倒れていく。
「えっ?わっ、、、キャッ、、、、」
っと思ったときには胸に抱えたコピー用紙の重みも手伝って床に落ちていた。だけど、咄嗟にコピー用紙を庇っていたらしく上に落ちることもなく肩から落ちていた自分を誉めてあげたいと思う。