俺様御曹司による地味子の正しい口説き方
デスクに座り、青ざめた表情で考え事をしている杏の耳元にフッと息がかかる。
ビクッと肩を上げ、慌てて横を見る。
そこに立つ人物の甘い甘い微笑みに、目を見開いて、昨日の事が夢でなかったと重い知った。
「杏さん、おはようございます」
そういいながら、頬にチュッと軽いキスが当たる。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
思わず叫び声をあげてしまい、手で拭き取ってしまった。
ゴシゴシ擦る私に不機嫌になることもなく、甘い微笑みを浮かべたままの恭一が立っていた。
「酷いな杏さん。彼氏からのキスをそんなに嫌そうにしなくても」
楽しそうに目元を緩めてクスクス笑う姿はどこぞの王子様のようにキラキラ輝いていた。
あっ。
王子様だったわ。
御曹司だったわ。
ギャップリオだったわ。
そうだった、そうだった。
一人納得したように頷いている杏に、更に近より再び耳元にフッと息を吹き掛け、囁いた。
「今日、一緒に帰ろう」
軽く現実逃避気味だった杏も一気に現実に戻ってきた。