俺様御曹司による地味子の正しい口説き方


「まっ、待ってませんっっ」

「連れないなぁ」

纏う空気が甘すぎて、胸焼けしそうだ。
その様子を見ていた華の眉間に皺がよる。

「うわっ、、、。気持ち悪い、何こいつ」

「華ちゃぁんっっ。助けて下さいっ」

長い前髪と分厚い黒渕メガネでほとんど見えないが、杏の瞳は涙目だ。
その小動物のような潤む瞳が真っ直ぐ華に向けられて、華の庇護欲を掻き立てる。

「はぁ、、、なんて可愛いの杏は」

うっとりと杏を見つめる。
席が隣ならば今すぐ抱き締めて上げるのに。
手を伸ばして杏の頭をせめて、と撫でる。

すると、横から杏の顎を持ち、グイッと顔を向け直し、その顔を覗き込んだ恭一が、眉間に皺を寄せなぜか不機嫌だ。

「杏?そんな顔、会社でするなんて何考えてんの?お仕置きしてほしいの?」

『お仕置き』というフレーズに体が固まる。さっきまであんなに甘かった恭一が豹変した。
えっ??
何処にスイッチがあった?

< 77 / 246 >

この作品をシェア

pagetop