金木犀のエチュード──あなたしか見えない
「君は本当に彼が好きみたいだね」
「今日は本選をただ観にきただけではないんですよね」
「まあね」
「詩月くんの本気の演奏をとくと堪能するといいわ」
「ああ、楽しみだよ」
わたしがコンクール会場の1室に向かおうとすると、男性が「ちょっと、君」と呼び止めた。
「名刺を渡しておくよ。ホームページを見て興味が沸いたら連絡してきてよ」
男性は言いながら、名刺を差し出した。
「ジョニーズ事務所、ミュージックプロデューサー……そうね、気が向いたら」
芸能事務所のミュージックプロデューサーとクラシック、何だかピンと来ず、曖昧な返事で受け流した。
「彼、また来ているのね。周桜くんのこと色々と探って回っているみたいだけど」
志津子が小声で、男性を振り返って見ながら言う。
「学長とも話をしていたらしいし」
志津子は席に座ってからも、男性の動向の噂を話した。
「今日は本選をただ観にきただけではないんですよね」
「まあね」
「詩月くんの本気の演奏をとくと堪能するといいわ」
「ああ、楽しみだよ」
わたしがコンクール会場の1室に向かおうとすると、男性が「ちょっと、君」と呼び止めた。
「名刺を渡しておくよ。ホームページを見て興味が沸いたら連絡してきてよ」
男性は言いながら、名刺を差し出した。
「ジョニーズ事務所、ミュージックプロデューサー……そうね、気が向いたら」
芸能事務所のミュージックプロデューサーとクラシック、何だかピンと来ず、曖昧な返事で受け流した。
「彼、また来ているのね。周桜くんのこと色々と探って回っているみたいだけど」
志津子が小声で、男性を振り返って見ながら言う。
「学長とも話をしていたらしいし」
志津子は席に座ってからも、男性の動向の噂を話した。