うっせえよ!





____目を覚ますと、そこにはいつもの朝の光景が広がっていて、私は「よかった……。」と呟いた。



そして、次にはスマホを手に取り、母さんへ電話をかけた。



「もしもし、母さん? 右足ある?」



母さんは呑気な声で、「なんね? 朝から縁起でもない。」と言った。



「ううん。なんでもない。」



母さんの返事を訊く前に電話を切った。



わかっていた。夢だってことはわかっていた。



でも、これがただの夢じゃなくて、虫の知らせだったらと思うと、この先も油断ならない。



私はジンクスの類を重んじている。何かまずいことがあったときは、その通りの行動を起こさないように気を配る。



「夢で起こった話は、誰かに口に出すとその通りにならない。」というのも、私のジンクスの一つだった。




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