うっせえよ!
マンションに帰ると、部屋は真っ暗で、灯りを点け、それから冷蔵庫に直行し、ミネラルウォーターを一口飲んだ。
それからソファーに腰かけ、何となくテレビを点けた。ニュース番組をやっていて、カープが25年ぶりの優勝目前で、地元広島が湧いているという話題だった。
「そういえば、誠司さんって野球とか観るんですか?」
思わずそう訊いてしまい、それから返事がないことが当たり前なのに、なぜか寂しくなった。
誠司さんはもういないのだ。
コーヒーを淹れてあげることもなければ、洗濯物にキャバクラの名刺を見つけて怒ることもない。ケンタッキーの骨もゴミ箱に入れることもない。
「ただいま。」「おかえり。」を言うこともない。
当たり前じゃなかった日常が、当たり前の日常に逆戻りしただけなのに、どうしてこう虚しくなるのだろうか。
一人暮らしを始めた当初にも感じたことがなかった寂しさが、月15万円のマンションの一室に漂っている。