うっせえよ!





さて、そんなダビデ像だが、それを遥かに凌ぐものが今、私の目の前でいびきをかいている。



ダビデ像に限らず何でもそう。ここに寝転がっている上裸の猛獣よりは、マシだ。



だいぶマシ。



どうしてここまで、虫唾が走るのだろう。そして、どうして身体の震えが止まらないのだろう。



主人公の心情を15字以内で書きなさい。なんて問題が出たとして、その答えは自ずとこうなるだろう。



「相手が誠司さんであるから。」



私の服装は、至って普通だ。多少、乱れてはいるけれど、無理矢理脱がされたような形跡はない。



しかし、この猛獣は上裸で寝ている。ということは、そういう夜の行いのようなものがあったと考えるのが妥当だろう。



でも、無理矢理じゃないのにそういう行いが催されたというのか? つまり、それはお互い同意の上で行われた、神聖で潔白な行為だったことになる。



おいおい、嘘だろ……。



いくら酔っていて記憶がなかったからと言って、私があの誠司さんとワンナイト・ラブを行ったというのか? しかも、ロレックス・サブマリーナデイト付きで。




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