うっせえよ!
脱衣所のドアがガラッと開いた。
思わず目が脱衣所に向いたが、いやいや、ダメ。見ちゃダメ。
見ちゃダメなんだけど……そう思うと見たくなるのが人間で、私もそのうちの一人だ。
「ふう、いい湯加減だった。浴槽も広いし、これはガッポリ稼いでるな。」
洗い髪をバスタオルで拭きながら、上半身裸の誠司さんがスタスタと歩いてくる。28歳にしては腹筋も胸筋も発達していて、鎖骨が綺麗。
おまけに後ろを向けば、ああ、背中。なんだこれ! 思わず抱き着きてえ! スリスリしてえ! 私の中で何年も眠っていた乙女心がムクッと起き上がる。
「あっ! しまった!」
ボストンバッグをごそごそしながら、誠司さんが声を上げた。
「替えのパンツ忘れた……まあ、いいか。まだこれ5日目だし、あと1週間は履けるな、うん。」
血の気がサーッと引いていくのがわかった。キツツキも疲れて眠ったようだ。
「……惜しいっ!!」
「へ?」