恋なんていたしません!
引っ越してきたから隣がうるさかった訳なのね…って、どうでもいいわ!

「えーっと、水産部の野々村さんですよね?」

「そ、そうですね…」

何だこれは…。

ダラダラと背中に冷や汗が流れているのを感じる。

「あの…つまらないものですが、よろしければ」

一ノ瀬は箱をわたしに差し出してきた。

「ああ、どうも…」

わたしはそれを受け取った。

「えーっと、よろしくお願いします」

職場はもちろん、ここでもよろしくしたくないんですが…。

「では、これで」

一ノ瀬は頭を下げると、隣の部屋のドアを開けた。

本当に隣だ…。

ガチャンとドアを閉めると、箱を開けた。

中身は洗剤セットだった。

「うん、洗剤を買う手間が省けた…」

液体洗剤を箱から取り出すと、わたしは呟いた。
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