私のいとおしい残念な男達
** 黒木side **



3階の非常階段から社内に入ったところで、エレベーターを見ると二台のうち一台が
【点検中】になっていた

だからあんなとこから降りて来ていたのかぁ


ったく間が悪い、あんなところでヒョコリと顔を出した時、すぐに小夏だと分かった



でももう帰っただろうか……?
それとも、さっきの和馬からの電話を気にして、今頃会うために電話しているんじゃないだろうか?


はぁっ…………


くそっ、いつまでも女々しいと分かってるのに
俺は何考えているんだ


「…………」



あの遊園地に行った日の夜

小夏が走って公園へ向かった先に、和馬が会いに来ていた


「………なんだ、SEXレスだっていうのに、ちゃんと会ってんじゃないか」

タイミングを見計らって俺もそこに行こうと思っていたが………


小夏が顔を上げ、嬉しそうに和馬に走り寄って行くのが見えた

あいつ……たぶん俺がさっきつけたキスマークの事、すっかり忘れてやがる


遠目からの二人は、肩を寄せ軽くキスをしていた

それを見て俺は、さっきまで一緒にいた遊園地での小夏を打ち消した


あいつは和馬と別れない

じゃあなんなんだよ……俺は

『私、黒木と恋人ごっこするつもりないから』


ごっこかよっ!


『大体、さっきの子に何でキスしたの?無責任じゃない?そうゆうの………』


だったらほっとけよ
全力で手を跳ね除けたらいい

俺が誰と何しようが勝手だろ、今までだって
いい加減な付き合いで、気をまぎらせていたんだから

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