私のいとおしい残念な男達
** 黒木side **



また眠ったんだろう
扉の隙間から、寝返りをして顔を埋める小夏が見えた

「はぁっ………」


ダイニングテーブルの椅子に座り、肘をついたまま溜め息が出た


何なんだよあの男は


阿部が話していた危ない奴が、まさか小夏の近くにいたなんて………


奴に飛び掛かり、押さえ込んでとにかく小夏に何を飲ましたのか問いただした


『ただの睡眠薬だよっ、貰った半分しか使ってないし』


そうは言ったが、どんな薬か分からない内は病院に連れていく訳にもいかない

とりあえず奴が持っている薬も取り上げた


項垂れて力もなく目を覚まさない小夏に、もしもの事があるといけないから、目の前のラブホに入る訳にもいかない


都合よく和馬のマンションの近くでよかった
小夏は部屋の鍵を持ってるし………


とにかくここへ連れてくるしかなかった



カチャッ

和馬が帰ってきたのだろう、玄関からリビングに急ぐ足音がする


「小夏はっ?!」


俺はすぐに寝室に視線を向けた

扉の隙間から見える小夏にホッとした顔を見せる

「今はまた眠ってる」


「大丈夫なのか?」

上着を脱いで扉の隙間から小夏を覗き込む和馬


和馬は仕事中みたいだったが、ここへ来てすぐに電話した

「分からない……さっき目を覚ました時はだいぶ落ち着いてたが」

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