私のいとおしい残念な男達
「………始めはずっと烏龍茶しか飲んでなくて、そのうち課長たちに呼ばれて注ぎに行って……」
10人くらいの座敷長テーブルに男女なんとなく別れて座っていたらしく後からくるはずの後輩女以外女子は3人
当然ながら仕事で扱い安い独身中間世代の小夏が呼ばれ、上司の男連中の中へ
ビール瓶を持たされたとこで注ぐしかなく、どこからかコップ一杯のご返杯用のビールをこれまた渡され「まずは一気で」と言われた
課長の次に隣の主任、そのあとは……とにかく後輩以外の男性社員へ注いで、自分のビールは少し飲んでは注がれてて
立ったり座ったりしてるうちに気分が悪くなって、でも飲んだのはコップに3杯くらいの量だと思う
頭を捻りながら、そう言う小夏
いつ薬が入れられたなんて分かるはずがない
「小夏を連れ出した奴は?」
和馬が小夏の顔を覗き込みながら聞くと、一瞬で身体を強張らせた
「………気分が悪くなったからトイレに行って、そしたら女子トイレまで入ってきてて……」
後はよく覚えてないと言う
だんだん嫌な事を思い出したのか、微かに手が震え出した小夏
その手にそっと自分の手を重ねた和馬
すぐに質問の方向性を変えた
「波瑠は知ってたの?その男の事」
「………ああ、最近出来た駅前のBarで頼むとバーテンダーが連れの女の酒の中に薬を盛ってくれるって話していた社員がいるって、休憩所で噂話を聞いたんだ」