私のいとおしい残念な男達
『じゃあ、桐生がもうすぐ海外支社に出向するって知ってた?』
…………和馬が海外支社にって、いつからの話なんだろう
それって本当の話なんだろうか……
「……………」
「先輩、結局残業なんですか?」
定時の時間を過ぎても集中出来ないまま、残業に突入していた
「ごめんモモちゃん、あとは一人で大丈夫だから」
そう言ったものの、溜め息をつきながら私の残りの入力作業資料を手に取ったモモちゃん
「なんだか今の先輩じゃあ、いつまでも終わりそうもないですよ。何かあったんですか?」
「モモちゃん……」
私が顔を上げると、背が低いのにとても頼り甲斐のあるモモちゃんが心配そうに首を傾げ覗き込んできた
「ま、ここのところプライベートが大変なのは分かりますけど、だからこそ仕事には手を抜かないのが先輩でしょ?もしかして、あの爽やかな人が原因ですか?」
「…………和馬のドラえもんのポケットが」
つい口に出して呟いてしまった
「はぁっ?」
「あ、いや何でもない」
慌ててモモちゃんから目を逸らし、パソコンに目を向けた
「…………」
「先輩、最近黒木さんにも会ってないんですか?」
私の斜め後ろにあるモモちゃんの席
背中越しからキーボードを叩く音と一緒にそう聞いてきた
「えっ?!く、黒木?」