私のいとおしい残念な男達
「岬さんに前に言われたことがあるんだ。『小夏は劇的に男運が悪いから、最後に傷つけることになるのなら初めから付き合わないで』って」
「なっ……じゃあまさか、私の昔のことも…」
舞子には過去の恋愛の黒歴史を全て知られている
その口がクッと口角を上げる
…………知ってたんだ、江口さんのことまで
「大学の時には浮気され、社会人で浮気相手にされたって。その後俺は何て言われるんだろうな」
「やめてよ。本当に落ち込んでくるから……」
「岬さんに怒られるだろうなぁ」
「…………大丈夫だよ、舞子には和馬の事言わないから」
別れた理由なんて、どうせ勝手にいろいろ言われるのは分かってる
そんな噂にいちいち否定も肯定もするつもりもない
「いつか、ちゃんと小夏を幸せにしてくれる人が現れるよ」
……ああ、定番な言葉だけどそれが和馬らしい
「………ありがとう、もういいよ和馬」
優しいその手からもう離れなきゃ
いつまでも甘えてちゃいけない
和馬から離れ、ソファーから立ち上がる
「小夏……?」
「………大丈夫だよ。もぅ、帰るね」
顔を上げ、和馬に顔を向けた
ちゃんと笑顔を見せることが出来ただろうか
玄関まで後ろから見送ってくれる和馬に、背中を向けたまま「じゃあね」と、素っ気無い挨拶をする